【クレアHD】影の主役は、あの前澤社長の弟。【株価/臨時株主総会/IR】

前澤友作」氏は、日本最大の衣料品通販サイト「ゾゾタウン(ZOZOTOWN)」を創設したことで有名で、世界初の月面旅行者の権利を買い上げたり、お気に入りの美人タレントのためだけに芸能事務所を設立したりと、本業以外でも注目を集めています。その弟、「前澤周平」氏はこれまでメデイァを賑わすような目だった活動をまったくしてきませんでした。しかし、今、東証二部企業「クレアホールディングス」(証券コード:1757)をめぐり、弟「周平」氏の動向が注目されています。

同社は、金融庁から自社株式をめぐりインサイダー取引疑惑に関して、調査報告書の提出を求められています。同疑惑には、今回、6名の取締役候補を推薦し臨時株主総裁開催を求めているオリオン1号投資事業有限責任組合が深く関与していると言われています。

同社はすでに、金融庁に報告書を提出したことを明らかにしています。

前澤「弟」氏は、どう関与しているのか?

もっとも単純にいえば、実質的オーナーです。
このオリオン1号なる責任組合の80%を超える資本を有しているのが、スペース投資事業組合で、このスペースに9割超を出資しているのが「周平」氏です。因みにオリオンの残り2割を保有しているのは、セノーテキャピタル社長の岡本武之氏です。

オリオンは、7月岡本氏自身も含め、6名の取締役選任議案を提出、会社側の実質的な経営取得を目指し、11月20日に臨時株主総会を要求しています。

クレアは、不動産業から出発し多方面に建設や住宅だけでなく多方面に事業を展開しています。株主構成(図表参照:11月9日現在)は、下の図表の通りですが、インサイダー取引疑惑が指摘されるのは無理もありません。昨年に第三者割当を引き受けた岡本氏、MTキャピタルの小田裕次氏、株式会社SEEDの猪俣秀明氏などの間で、今年に入ってから、トップ大株主の地位をめまぐるしく入れ替わるほど、頻繁に保有株式を売却していたからです。

保有 保有
松林 克己 9.72%
株式会社SEED
猪保 秀明
9.57%
オリオン1号投資事業組合
岡本 武之
8.84%
株式会社MTキャピタル
小田 裕次
4.53%

(※2020年11月9日 時点、EDINET及び会社のリリースから作成)

f:id:irlrt01552:20201117024759p:plain 前澤「弟」平氏は、「兄」友作氏が今のZOZOの基盤となる「スタート・トゥデイ」設立の5年後、2003年に物流企画や商品開発、システム開発などを事業内容として掲げる「株式会社ゼアー」の代表取締役社長を務めています。

オリオンの実質的なオーナーだけでなく、前澤「弟」平氏は、オリオンが求めている臨時株主総会の事務手続き、具体的にはデータ入力の発送業務など、公式な手続きを進める事務所の登記上の現住所がゼアーと同じ住所で登録されていることからも、むしろ積極的な関与があるとも見ることができます。 

掲示板で前澤「弟」周作氏の「社長就任辞令」?

今年序盤、「6 月の株主総会で前澤周平が社長になると思うが、元ZZ社長Mは優秀であった。弟の周平はまだ未知数であるが才覚があるのか?」とインターネットの掲示板書き込みの形で最初の人事辞令が発動されました。

オリオンとMTキャピタル(小田氏)が合計45億円の第三者割当を引受けたのが今から1年以上前の2019年7月で、そこから株価は1年近くも20円台で低迷していました。

「兄」の友作氏はヤフー株式会社に自身が創業したZOZOを約4000億円で売却したとされており、資金にこと欠かないのは明らか。「弟」の社長就任話に加え、最終的には兄が資金を提供するとの話も掲示板では囁かれていました。

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 その後、掲示板による社長辞令はインターネットのニュースサイトに記事の形で6月に入り、少なくとも2度触れられ、あらたな資金融資の話や社長就任の話も「事情通」を情報源に語っています。この頃から30円台にも満たなかった株価は、最終的には200円にワンタッチするまで上昇しています。この間、株価は、5月中に一気に50円台に上昇、こうしたインターネット報道があった6月から7月にかけては一気に187円まで急騰しました。

しかし、「弟」平氏が社長に就任した事実はありません。今年6月の株主総会では、社長候補として推されることはありませんでした。今回、オリオン1号も明らかにしている株主提案にも取締役候補として「弟」平氏オーナーの名前はありません。

しかし一旦、提案している6名の候補が今月末の株主総会で認められれば、「弟」平氏の社長就任誕生も否定はできないでしょう。

今後、金融庁が本格的な調査に踏み切るのかは今の時点では明らかになってはいませんが、今月に開催される臨時株主総会では、株主が「弟」周作氏の社長就任を可能とする株主提案に同調するのか、あるいは着実に経営努力を重ねてきた現経営陣を支持するのか注目して見ていきましょう。